BCP担当者に関する確認項目
机上訓練では、BCPに書かれた手順やワークフローを確認していきますが、実際に作業をするのではなく、作業したつもりでシミュレーションすることがほとんどです。訓練にかける時間の制約もあり、ドキュメントの確認や口頭でのQ&A形式で行われるため、担当者の身心がどのような状態になるかは想像しづらいです。
本当に実災害で動けるのか? 以下に確認すべき8項目をご紹介いたします。
過去に筆者が経験した実災害(大規模システム障害=IT災害)と、緊急参集メンバとしての実働訓練の経験、それに加え、ここ数年被災地で問題になっている担当者のメンタルヘルスケアをもとに作成しています。
-
担当者はBCP全体を理解して柔軟に行動できているか
-
担当者の作業量は適切か
-
実施手順と想定所要時間は現実的か
-
作業管理に関わる項目が多すぎないか
-
役割の兼任は最小限に抑えられているか
-
担当者は効果的にコミュニケーションを行っているか
-
管理者は担当者のメンタルヘルスケアを行う知識があるか
-
作業環境は担当者の働きやすさが考慮されているか
確認項目の説明
1.担当者はBCP全体を理解して柔軟に行動できているか
次に自分は何をするか、いま誰が何をしているか理解しており、主体的に行動できる。
指示がなくとも、次の行動を自分で決めて柔軟に動けるようになっているか。
2.担当者の作業量は適切か
短い訓練ではできても、数日間続く被災時には無理な作業量になっていないか。
訓練は実際の期間を短縮して行っていることを念頭に作業負荷が考えられているか。
交代や休憩も考慮されているか。
3.実施手順と想定所要時間は現実的か
手順実施にかかる実時間が考慮されているか。シュミュレーションにより、時間の計測が十分ではなく、実際より短い時間でできるように想定されていないか。
また、担当者のスキルや習熟度が考慮された時間設定か。
4.作業管理に関わる項目が多すぎないか
頻繁なチェックポイントや報告により、作業が中断し生産性が落ちてないか。通常業務と同じ管理ではなく、緊急時に必要な絞り込まれた管理がなされているか。
5.役割の兼任は最小限に抑えられているか
緊急事態で稼働要員が少ない場合、兼任により作業負荷はさらに高まる。参集したメンバが柔軟に役割を担い、状況をみて役割を委譲できる体制づくりが考慮されているか。担当者のマルチタスキングを可能とするトレーニングやドキュメント類が用意されているか。
6.担当者は効果的にコミュニケーションを行っているか
アサインされた作業に専念するだけではなく、周囲とのコミュニケーションが十分とれ、積極的に情報を求めているか。また、相互に励まし元気づけるポジティブな会話ができているか。
7.管理者は担当者のメンタルヘルスケアを行う知識があるか
管理者は担当者のメンタル不調に気づき、適切にケアするための知識があるか。
8.作業環境は担当者の働きやすさが考慮されているか
担当者が休憩できる場所が用意されており、食事に関しても作業をする上でのカロリー量や栄養が考慮されているか。