伸び代でレジリエンスを高める


新年度も始まり、今年は対面での入社式や新入社員研修も始まっています。

コロナ禍で中断した、従来の方法に戻る場合もあれば、

この2年で始まった新しい研修方法にシフトしたところもあります。


評価のポジティブな捉え方


研修には評価がつきものです。

期待しているレベルを100点とすれば、

90点と70点の、どちらが良いでしょうか?


多くの方は90点の方を好ましく思うはずです。


90点なら、あと10点で満点です。

70点なら、満点まであと30点あります。


この差分を伸び代だと捉え、期待を込めて伝えてみます。

期待は相手のレジリエンスを高めます。


低かった点数を指摘するのではなく、

伸び代があることを伝えるのです。


伸び代をその人が持っている「可能性」と捉えた例を紹介します。


伸び代を食べ残した饅頭に例えられた経験


私は、転職した会社で受けた2度目の新人研修で、

思ったより低い評価をもらいました。


自分なりに手ごたえもあったので、落ち込みました。


キャリア採用のため、成績の順に次に受ける研修がアサインされます。


早く次の研修は受講できれば、

入社時の初期研修プログラムを終了でき、

現場のプロジェクトへの配属も早まります。


座学より現場に出たかった私は、

早く初期研修を終わりたく、低い評価はショックでした。


その時、年配の研修アドバイザーからこのように言われました。

研修アドバイザーは、研修を受講する社員のサポート役です。


「深谷さん、饅頭が残っていたね。もっと食べられたはずだよ」


食べ残した饅頭? 

意味が分からず戸惑いましたが、こういうことです。


好き嫌いがあって手を付けなかった課題があった。

無意識に避けていた課題があった。


「例えば、5個饅頭があったのに、3個半しか食べてなかったんだよ」

 

研修部門から渡された評価シートを渡しながら、そう解説されました。


本人の学習スタイルを尊重しつつ、他の可能性も伝える


20代だった私の学習スタイルは、こうでした。

  • 興味があるところに引き寄せられ、脇道にそれやすい。

  • 周囲を気にせず、マイペースで学習するのが好き。

  • 皆で学ぶより、ひとりで課題に取り組みたい。

一言でいえば、オタク気質です。

マイペースは「協調性がない」と思われていたようです。


つまり、食べ残した饅頭の正体は、こういうことです。

  • 同期の仲間と情報交換しないことで、とりこぼしていた内容があった。

  • 学習内容にムラがあった。

  • 自分では頑張っていたことが、実は本筋からそれていた。

研修アドバイザーからの、饅頭に例えた説明は、

私自身の伸び代を伝え、そこに期待が込められていました。


評価のショックから立ち直る手助けとなりました。


私は、好奇心が強いので、

「食べ残した饅頭」への興味が沸き起こり、

同時に、挑戦心も高まったように思います。


その後、積極的に周囲と情報交換をしたのは言うまでもありません。


学びの道、つまり学習スタイルは、人それぞれで異なります。

  • 最短距離を、最速で進むのも ひとつの道。

  • ゆっくり時間をかけて、道草しながら進むのも ひとつの道。

  • 好きなことだけを深く学ぶのも ひとつの道。

  • 仲間と一緒に学び、歩調をあわせて進むのも ひとつの道。

その人がもつ強みが学びのスタイルに表れます。


成長を促す評価


主体的な学びが重視されている現在、

アクティブラーニングが注目されています。


教えられるのを待つのではなく、

自ら学ぼうとする積極的な姿勢があることで、

問題意識を持ち、自ら解決するために行動することができます。


本人のペースで成長することができます。


ただし、集団組織では、どんな学び方でもOKと言うわけにはいきません。


本人の強みを生かした学習スタイルも、ある程度の柔軟性が必要です。


足りないところを指摘する際、

そのままを伝えたのでは、ネガティブ・フィードバックです。

言われた本人は、自分を否定された気分があることは否めません。


本人の伸び代に目を向けた、ポジティブな伝え方だと、

受け取る側の感じ方が違ってきます。


70点ということは、まだ30点分の伸び代がある。

成長の余地があることを強調し、期待する。

評価を伝える側の思いを込めてみます。


期待を感じられることで、沈んだ気持ちを回復させる。

レジリエンスが高まります。


研修の成績にショックを受けた部下や同僚に、

あるいは、テストの成績で落ち込む子どもに、

レジリエンスを上げ、前向きになれる対応をしたいと思います。









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