七転八起は心の筋肉トレ

レジリエンスは心の筋肉です。

しなやかで強い筋肉を作るには、身体の筋肉と同様に、心の筋肉にもトレーニングが必要です。


私はかつてマラソンが趣味でした。

今はゆっくり走る程度ですが、数年前はフルマラソンを走っていました。

当時は練習で1日20キロ走っても、一晩寝れば身体は回復していました。


ところが先日、久しぶりに当時のペースで走ってみると、2-3キロで筋肉痛になりました。

普段しない運動をすると、たいていの人は筋肉痛になります。

筋肉は使わないと衰えてしまうのは言うまでもありません。


初のフルマラソンを目指して初めて10キロ走ったときは、足を引きずって帰宅しました。

駅の階段を歩くのもつらい痛みが2-3日続きましたが、

翌週の10キロ走では、筋肉痛は前週よりも軽く、自分でも驚きました。

筋肉は鍛えることで、ダメージからの回復も早くなることを実感しました。

身体は慣れるものですが、休むとすぐに元に戻る。経験者はお分かりですね。



■ 気持ちの切り替えもトレーニングが必要


心の筋肉も同じだと思います。

例えば、ネガティブ感情の切り替えもそうです。


気持ちも鍛えていないと弾力性がなくなり、硬直してきます。

落ち込んだ時になかなか回復できない。

怒りや不安などのネガティブ感情からなかなか切り替えられないで、ひきずってしまう。

視野が狭くなったり、思い込みが深くなることもあります。


早く切り替えられれば、心の痛みは浅く、ひきずれば深くなります。

心の筋肉もトレーニングが必要で、遠ざかると弱くなるのではないでしょうか。


感情をコントロールする習慣を身につけれられれば、

気分が大きく下がったり、下がった状態を長引かせたりせずにすみます。

心の筋トレだと思って、気持ちの切り替えを意識してみます。

ネガティブ感情は、思った以上にエネルギーを消耗し、感情疲労は蓄積すると厄介です。


最初は立ち直れないと思うような出来事でも、

起き上がるだけ精一杯だと思えることも、

少しづつ回復が早くなっていれば、それは何かを学んで成長しているのです。


何が起こるかわからない今の世の中、気持ちを切り替えるトレーニングは大切だと思います。



■ 失敗は挑戦の証だと捉えてみる


失敗経験は恥ずかしいことで、マイナスな経験だと捉えがちですが、ポジティブに見れば「挑戦の証」です。

立ち直り方を学ぶことが心の筋トレで、自信にもなります。


「あの時も立ち直れた。今度も大丈夫だ。」と思えれば、挑み続けることもできます。


かつて、NASA(アメリカ航空宇宙局)では、宇宙飛行士を選ぶ面接で、過去の失敗経験を聞いていたそうです。

もし、2回の失敗があれば、2通りの回復経験ですが、

100回の失敗には、100通りの回復経験があります。

失敗の数イコール挑戦の証であり、回復経験の数だと捉えれば、その分レジリエンスです。

回復経験が多い方が、トラブルにも冷静に対処できると思います。


失敗が少ないと、その分落ちこむことも少ない。

それだけ見れば、悪くないことですが、

気持ちを立て直すトレーニングが少ないとみれば、打たれ弱いのかもしれません。



■ 失敗は学びの機会に変える


アスリートは負けた試合の後、「課題と修正点が見つかった」といいます。

口に出して言うことで気持ちを切り替え、マイナス経験を学習の機会に変えています。


「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」


これは、プロ野球で活躍された野村克也氏の座右の銘です。(注:出典は松浦静山「甲子夜話」の一節)

偶然の勝ちはあっても、偶然の負けはない。

勝ち負けに一喜一憂するのではなく、負けの原因を受けとめ、学習や成長につなげることが大切だと、

野村氏は負け試合の分析を行っていたわけです。

「負けたことを忘れて、次の試合に切り替える」のとは、切り替え方が違っています。


学びが大事なのは言うまでもありません。

七転八起の気持ちで学び続けることが、レジリエンスにもつながる。

レジリエンスの高い人には、失敗から学ぶ力も高いと思います。


イーロン・マスク率いる米国スペースX社は、2002年に設立されています。

ロケット開発での歴史は短いのですが、ボーイング社を抑えて民間有人宇宙船第1号となりました。

今年10月には、野口聡一さんはスペースX社の宇宙船(クールドラゴン レジリエンス号)でISS(国際宇宙ステーション)に飛び立ちました。


スペースX社の失敗からの回復が早く、開発の歩みをゆるめないことには一目置かれています。

先日行われた同社が行った火星ロケット実験は、試作機が墜落して爆発しましたが、

「有効なデータを入手できた。実験は成功した」と、それでも成功だと位置づけています。

立ち止まることなく次の実験に取り組むスピード感は、スペースX社のレジリエンスです。


成功より失敗の方を貴重だと捉える。

このようなポジティブ思考も、レジリエンスには必要なのです。





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