ユーモアを磨く

January 29, 2019

働く人の6割がストレスを感じるストレス社会。

年に1度のストレスチェック実施が施行されて3年がたちます。

(2015年12月1日施行、50名以上の事業場は義務化)

職場でのメンタルヘルスを良好に保つことは、

生産性を上げるだけでなく、従業員の幸福にもつながります。

 

ストレスの原因で一番多いのが、人間関係の問題です。

若手社員の転職理由のひとつにも、職場の人間関係や社風が挙げられており、

一緒に働く上司や同僚との関係は、仕事内容や待遇と同じくらい

その職場で働き続ける決め手となっています。

 

 

 

 

笑う人はキレにくい

 

いつも穏やかな人が、急に逆上して怒る。

いわゆる「キレル」人が増えてきていると、企業の苦情受付窓口でもよく耳にします。

ネット上の炎上もその一つだと思われますが、

怒りっぽい人が増えていることは、それに対処する側にもストレスがあります。

 

自分に落ち度があるなら反省し改めるべきですが、

世の中、自分ではどうしようもない理不尽なことも起こるものです。

そんな時、深刻な顔付きをしている人より

笑っている人ほどキレにくいという話を聞きました。

 

笑うことで気持ちに余裕が生まれます。

大したことはない、何とかなると笑ってみれば、冷静に思考も働きます。

この経験はネタになる、何かに使えると思えれば、

ストレスをいつまでも引きずることもありません。

 

 

ユーモアは生きるために必要

 

第二次世界大戦中、アウシュビッツ捕虜収容所での過酷な経験を

精神科医ヴィクトール・E・フランクル博士は

「夜と霧」という著書の中で、こう書かれています。

 

最低一日ひとつ笑い話をつくろう

ユーモアへの意志は生きるためのまやかし。

 

捕虜収容所の劣悪な環境で、いつ命が絶たれるかわからない恐怖の中で

ユーモアがあった者ほど、心身の健康状態を維持し、

生き延びられたと書いてあります。

 

ジョークによる笑いが、生きる力につながったというわけですが、

平和な時代に生きる我々にも必要なことかもしれません。

 

 

ユーモアはどうやって生まれるか

 

ユーモアはどのように作り出していけるでしょうか。

まず、真正面からその状況を深刻に捉えていては、ユーモアは生まれません。

 

・ 違う角度から、置かれている環境を観察してみる。

・ 自分には関係ない、他人事だと、距離を置いて眺めてみる。

・ 明石家さんま、ビートたけしなら、どんな自虐ネタにするか。

 

ちょっと、ずらしてみることで、ユーモアは生まれてきます。

そして、笑ってみることで、否定的なことや暗い出来事を一時忘れます。

 

ユーモアは、緊張を強いられる毎日での息抜きでもあり、

憂鬱な気分を前向きに変えるのにも役に立ちます。

 

 

ユーモアのあるリーダーは人を引き付ける

 

私の前職(日本IBM)では、

グローバル共通で実施されていた管理職研修で

リーダーの必須資質として、ユーモアが取り上げられていました。

 

どんな状況でも笑いを忘れないことで、チームにやる抜く力が生まれる。

 

リーダーから率先して笑いを提供。

リーダーが笑っていれば、部下は安心して仕事ができるということです。

 

「どうせつらい仕事なら、笑ってやろう」

笑いがあると、厳しい仕事も楽しく思える、そんな効果も期待されていました。

 

米国のテレビドラマや映画でも、緊張した場面で冗談を言うシーンが見られます。

欧米の同僚たちは、時に冗談を言って笑いながら、仕事に取り組んでいましたが、

日本人にとって、笑うことは不真面目に感じる時もあり

違和感があったことも確かです。

 

もっと笑ってジョークを飛ばしていれば、パフォーマンスも上がったかもしれません。

 

日本人ももっとユーモアのセンスを磨くべきだと思います。

極端かもしれませんが、窮地に立った状況をネタにできる余裕があれば、

そこから抜け出すアイデアも浮かぶのではないかと思うからです。

笑いによって、ストレスホルモンが減れば、発想を豊かにできると思います。

 

いつも明るく笑いがある人の周りには、人がひきつけられます。

笑顔には人を幸福にする力があります。

 

 

仏教とユーモア

 

仏教でほどこしのことを布施(ふせ)といいます。

お寺にさしあげるお布施はなじみがありますが、実は7つの布施があります。

その中に、穏やかな顔つきで相手にほほ笑む 和顔施(わがんせ)があります。

 

ユーモアのセンスを磨くことは、

にこやかに接するだけでなく、相手もにこやかにする。

仏教の和顔施に通じるものがあります。

  

ちなみに、7つの布施は

1.眼施(がんせ) 常に温かく優しい眼差しを施すこと。

2.和顔施(わがんせ)いつも和やかに、おだやかな顔つきをもって人に接する。

3.愛語施(あいごせ)優しく接する。叱るときも愛情のこもった態度と言葉を使う。

4.身施(しんせ)自分の身体で奉仕する。模範的な行動を、身をもって実践する。

5.心施(しんりょせ)自分以外のものの為に心を配り、共に喜び、ともに悲しむ。

6.壮座施(そうざせ)座席や場所、地位を譲る。

7.房舎施(ぼうしゃせ)雨や風をしのぐ所を与える。家や部屋を提供する。

 

参考:法華宗 真門流 「無財の七施」~誰でも出来る仏道修行 七つの施し

http://www.hokkeshu.jp/houwa/031.html

 

ユーモアは寛容さとレジリエンスにつながる

 

閉塞感のある組織や社会は、寛容さが失われています。

寛容さがない状態は、柔軟性や適応性も下がっています。

 

組織としてはレジリエンスも低い状態で、希望が持てない、自信が持てない状況を作り出しています。

ウィットやユーモアは、潤滑油のようなもの。

状況は変えられなくても、気分は変わります。

 

捕虜収容所で、一日1話笑い話を作って生き延びたように、

仏教の教えで「笑顔」を大切にしているように、

ストレス社会には、ユーモアが必要とされているのではないでしょうか。

 

仕事は決して楽しいものではなく、苦しい時のほうが多いものです。

どんな状況でもチームが目標に向かっていく上で、

メンタルヘルスを下げないためにも、ユーモアを磨いてほしいと思います。

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